熱中症の予防と対策

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熱中症の予防と対策
誰にでも起こり得る・・・

【熱中症】
Chain of Survival
1.熱中症とは?
高温や高湿の環境下で起こる全身の熱障害を「熱中症」といい、症状により熱痙挙、熱疲労、体温調節機能障害を伴う「熱射病」に分けられます。
熱中症は、熱波により主に高齢者に起こるもの、幼児が高温環境で起こるもの、暑熱環境での労働で起こるもの、スポーツ活動中に起こるものなどがあります。
熱中症は、すでにご存知の通り、死亡事故に繋がる症状であり、例年7月と8月に死亡事故が集中し、時間帯別では午後2時台から4時台の間に多発しています。
時間帯別では午後2時台から4時台の間に多発しています。気温30度を越えた環境下では、年齢に関係なく、誰もが熱中症になるうるリスクがあることを知っておかなければなりません。
熱中症は、脳の体温中枢(体温を平熱に保つところ)は、皮膚の血管を開いて体温を下げようとしますが、汗で水分が減っていることなどにより、血流量が足りなくなって起こると言われています。

日射病、熱射病など、重症となる可能性があるものを含め、「熱中症」と呼んでいます。
2.意外に知られていない・・・「スポーツドリンク」の種類と効果の違い
熱中症の予防としては、スポーツドリンクの摂取は有効的な手段といわれています。
しかし、スポーツドリンクには、ダイエットを目的にしているもの、また、疲労回復を目的にしているものなど、種類によっては、熱中症対策として不適切なものも存在しています。種類別のスポーツドリンクを上手に摂取することにより、より効果的な熱中症の予防にも繋がります・・・

日照下での労働を始める前に・・・
肉体疲労を軽減させることを目的としているアミノ酸系のスポーツドリンクは、労働を始める前に摂取することにより、その効果を発揮します。
開始する30分ほど前に摂取しておくことで、体力の消耗を抑える働きが発揮されます。1時間以上の労働を継続する場合には、4%~8%の糖分が含まれるものが疲労の予防に役立ちます。

ダイエット系スポーツドリンクは控えましょう
夏場の労働前には、発汗や利尿を促す効果のあるダイエット系のスポーツドリンクの摂取はできるだけ控えるようにしましょう。

市販品の成分表示を見ましよう
人間の体には、ほぼ0.9%の塩分を含んだ血液が循環しています。夏場の大量な発汗は、水分だけでなく体内の塩分も同時に失われています。
これを一般的に「脱水」と呼んでいますが、脱水の状態で「水」だけを摂取することにより、さらに、体内の塩分濃度を低下させてしまい、水分が取れなくなってしまうことがわかっています。そのためにも、水分と塩分を同時に摂取することが大切で、水分の組成として0.1%~0.2%の塩分が含まれているものが望ましいとされています。
市販されているスポーツドリンクの成分表示でナトリウムが40~80mg入っていれば、0.1%~0.2%の塩分が含まれていることになります。
3.熱中症の種類と分類
軽症度(Ⅰ度)

【熱失神】
皮膚血管の拡張によって血圧が低下し、脳血流が減少しておこるもので、めまい、失神などがみられる。
顔面蒼白となって、脈は速く、弱くなります。

【熱痙挙】
大量に汗をかいたときに水だけしか補給しなかったため、血液の塩分濃度が低下して、足、腕、腹部の筋肉に痛みをともなった痙挙がおこる。
足がつる、こむらがえり等がその典型です。

【日射病】
炎天下に激しい労働やスポーツをしたようなときに汗がたくさん出て、体の水分が足りなくなってしまい、心臓へ戻ってくる血液が少なくなって心臓が空打ちをしてしまう病気です。
いわば、「脱水状態」と考えればよいでしょう。

中等度(Ⅱ度)

【熱疲労】
脱水による症状で、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などがみられる。
放置あるいは誤った判断を行なえば重症化し、Ⅲ度へ移行する危険性がある。

重傷度(Ⅲ度)

【熱射病】
急激な体温の上昇によって中枢機能に異常をきたした状態。
意識障害(反応が鈍い、言動がおかしい、意識がない)がおこり、ショック状態に陥る。II度の症状と重なりあって起きる。死亡率が高い。

Ⅲ度の場合は、躊躇せずに、すみやかに、救急車の要請を行ってください。
意識障害を伴うような熱中症(Ⅲ度程度)においては、迅速な医療処置が、生死を左右します。
また、発症から20分以内に体温を下げることができれば、確実に救命できるともいわれています。
とにかく、躊躇せずに、すみやかに救急車の要請を行ってください。

熱中症は、軽度でも後遺症が出る場合があります。
熱中症の症状を発症したら、病院で必ず受診しましょう!
4.熱中症の対策
こまめな水分補給が何よりですが、「喉が渇いた」と感じた時には、すでに脱水の症状になっています。
喉が渇く前の水分補給を必ず行うように指導してください。

熱中症の中でも、「熱射病」は生命に関わる重症になる危険性があります。
「日射病」は、炎天下での労働や野外のスポーツでは特に注意が必要です。
気温の上昇に合わせた体調管理が必要です。バイザーではなく、帽子の着用、衣類の着替えに加え、通常ではない汗量が考えられますので水分と塩分の補給を忘れずに行うことです。

日除けや風通しを良くするための設備を設置し、散水出来る環境であれば適宜散水する。
水分・塩分補給を行い、また身体を適度に冷やすことのできる「冷たいおしぼり」などの物品を携行する。
日陰などの涼しい場所に休憩場所を確保する。
十分な休憩時間や作業休止時間を確保する。
衣服は吸湿性・通気性の良いものを着用する。

【注意事項】
工事現場での就労者の場合、前夜の多量な「飲酒」は常に避けるべきです。脱水になりやすいのでお酒の飲酒量に注意しましょう。
また、十分な睡眠を取って就労することを心がけましょう。
5.熱中症の主な症状
手足の筋肉に痛みを訴えたり、筋肉が勝手に硬直したりすることが最初の症状になることもあります。
次第に具合が悪くなって体がだるいと訴えたり、気分が悪くなり吐き気がしたり、頭痛やめまいが生じることもあります。立ちくらみや頭がボーツとして注意力が散漫になるのも典型的な症状です。
意味不明な言動がみられれば危険な状態です。
重症になれば意識が膿朧となり高熱を伴う状態に陥ります。
6.意識がしっかりしていて、体温の上昇が見られない場合の応急手当
① 木陰などの涼しいところで体を仰向けに寝かせます。
② 頭や首まわりを冷たいタオルなどで冷やし、うちわなどで風を送る。
③ 水やスポーツドリンクやたっぷりと飲ませます。(但し、吐き気を訴えて水分が採れない場合はすぐに病院へ)
④ 足が挙っていたり、硬直が見られる熱けいれんを起こしている時は塩分不足になっていますので 1%弱の濃度の食塩水(スポーツドリンク)を飲ませます。
⑤ 傷病者が寒さを感じるまで冷却を続けます。
7.熱中症の危険サイン
汗が出なくなり皮膚が赤く乾燥すると命にかかわる危険があります。ただし、就労中は汗の有無に関わらない場合があります。
高熱を伴い、反応が鈍いようであれば、すぐに救急車通報、医療機関での専門治療が必要です。自己判断せずに、言語障害や意識が膿朧としていれば、速やかに、救急車の要請を行い、専門機関受診をして下さい。
8.熱射病の応急手当
体を冷やしながら集中治療のできる病院ヘー刻も早く運ぶ必要があります。
いかに早く体温を下げて意識を回復させるかが予後を左右するので、現場での応急処置が重要です。
熱射病が疑われる場合には、直ちに冷却処置を開始する必要があります。

冷却は、皮膚を直接冷やすより、全身に水をかけたり濡れタオルを当てて扇ぐ方が、気化熱による熱放散を促進させるので効率がよくなります。
頚部、肢下(脇の下)、鼠径部(大腿部の付け根)などの大きい血管を直接冷やす方法も効果的です。
近くに十分な水が見つからない時の効果的な体の冷却法として、水筒の水、スポーツドリンク、清涼飲料水などをロに含み、傷病者の全身に霧状に吹きかけます。全身にまんべんなく吹きかけることにより、汗による気化熱の冷却と同じような効果をもたらします。
※これらの液体は、冷たい必要はありません。
9.万一の最悪の事態の場合には?
万が一、傷病者が「心肺停止」の状態に陥ってしまったら、速やかにCPR(心肺蘇生法)と、AEDの使用を行います。
但し、心肺蘇生法を行う際に、「感染防止具」がない限りは、人工呼吸を行ってはなりません。
感染防止具
*感染防止具
万が一の事態に備え、常に感染防止具を身につけておきましょう。
人工呼吸用の感染防止具がない場合には、胸骨圧迫(心臓マッサージ)のみでも有効です。

【心肺蘇生法の手順】

① 意識の確認をします。(わかりますか?と肩を叩く)
② 直ぐに119番要請とAEDの要請を行います。
③ 気道の確保(頭部後屈顎先挙上法)
④ 呼吸の確認(胸の上がりを見る・呼吸音を聞く・呼吸を肌で感じる‥・5秒間10秒以内)
⑤ 人工呼吸を開始します。(2回・傷病者の胸が上がる程度)
⑥ 胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始します。(30回)
 (胸骨圧迫30回・人工呼吸2回を繰り返します)
⑦ AEDが到着したら、AEDを優先にします。
  AEDの電気ショックが有効でない場合には、直ぐに心肺蘇生法を繰り返します。(2分間)
※傷病者に「汗」が確認できる場合、必ず「汗」をタオル等でふき取ってからAEDを使用します。
  AED使用の際は、通電性のある建設資材(鉄板)等の上では絶対に使用しないで下さい。
⑧ ~救急車が到着するまで、心肺蘇生法とAEDを実施してください~

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